彼は中学と同じくテニス部に入るものと思っていたから、こんなこともあるのだなと驚く。
卓球の実力なんてのは、どうでもいいことだった。
だって中学時代、彼はテニス部だったのだから。
〇〇
僕は周りと壁を作り、線を引いた。
以前までのグループと行動を共にするのはやめた。
一人にはなったが、気が楽だった。
中学時代、隣のクラスにアニメについて話した知り合いがいたことを思い出す。
そういえば彼はライトノベルを読んでいた。
スマホが禁止だったうちの高校でも、本なら読める。
休み時間はラノベを読めばいいんだ。
〇〇
何も見たくなかったから、視界に入れないようにした。
寝るか、ラノベを読んで。
ここはいい。この世界は、正真正銘、僕を没頭させた。
そして蓋を開けてみれば高校三年間で300冊ほどライトノベルを読むことになる。
これは一時的ではない現実逃避だった。
〇〇
興味深かったのは、クラスの“目立つ者”同士の対立関係だ。
そいつらは皆、自然とつるむものだと思っていた。
でも違った。
奴ら同士でも潰し合っているようだった。
僕から見たら同族でも、共存することはできないらしい。
僕の高校は全国でも有名なスポーツ校で、スポーツ推薦の脳筋DQNや、進学校落ちの秀才、中学からの附属上がりボンボンもいて、混沌とした環境だった。
「普通」とは程遠い世界。様々な性質の人間たちが同じクラスに放り込まれる。
そして同じDQN同士でも、そりが合わなければ潰し合う。
これは意外だった。
〇〇
そして彼のクラスでの映り方もまた、僕の想像とは異なった。
彼は中学時代、集団の中でいわゆる目立つ人間であった。
ただ、中学というのは小学校から続く人間関係も大いに含まれる。
彼の持つ力や地位は、小学校からの積み重ねも大いに関係していたのだと思う。
彼が中学でトップクラスの影響力を持っていたとするなら、高校ではそうじゃなかった、のだと思う。
この混沌とした世界で、彼はあの頃ほど目立っていなかったと思う。
だからと言って、他に一際目立つ誰かがいたかというと、そうでもないが。
なんというか薄れる。
〇〇
僕の目から見たら、彼にとっても中学の方が楽しかったんじゃないか?と思えた。
そんな事はないかもしれないが
ただ、やはり彼はこんな劣悪な環境でも中学と同じように、同じクラスの女子とも仲良くなっていた。
意図的に全てのあれこれを視界から遮断しようとしていたから、ふとした時に見える風景だけの判断だけれど。


