8月某日
僕は休みの日を持て余していた
仕事は辛いし、会社に行きたくない
だからこそ休日はとても気楽だが、これといってやりたいことも特にないのである
11時くらいに昼飯を食い、ダラダラしてると眠くなってきて、4時間ほど昼寝してしまった
「あーあ、また休日を寝て過ごしてしまった」
このままだと、せっかくの休日なのに損した気分になるよ
そう思い立ち、近所の居酒屋に1人飲みしにいくことにする
〇〇
某チェーン居酒屋のカウンター席で酒とつまみを堪能していた
ビールとハイボールで、ほろ酔い気分になっていた僕は、つまみを掴む手が止まらなかった
あー、やっぱり1人でも酒を飲むのは楽しいなぁ
なんの取れ高もない、おそらくボツになるであろう動画を撮影しながら、そう思うのであった
そんな時である
「すみません、」
隣に座る女性が椅子に置いていた僕のカバンの紐を拭っていた。状況がよくわからない
「こぼしちゃって、、ほんとにすみません」
「あー、全然大丈夫ですよ」
なるほど、酒か何かをこぼしたんだろう。居酒屋ではよくあることだ
我ながら爽やかな返答だったと思う。僕は昔から、無意識のうちに好青年を演じてしまうきらいがあった
酒が入っていたからだろうか、開放的な気分になっていた僕はその女性に話しかけていた
先ほどから何度か視界に入った、「ウマ娘」を話のきっかけにしようと試みる
「それ、ウマ娘 ですよね?すいません、偶然見えちゃって。好きなんですか?」
経験上、こういった二次元コンテンツを好む人は、それについて言及されると、嬉々としてその素晴らしさを語ってくれるものである
女性も例に漏れず、そのパターンであった
「そうなんですよ!〇〇が最高で〜」
細かい部分は忘れたが、熱く語ってくれた。上出来だ
「僕もアニメとか好きなんですよ」(スマホ画面を見せながら)

冴えカノの壁紙がこんなところで役に立つとは・・・
「へぇ〜今の若い子がどんなの好きかわからないんですけど、何かオススメとかありますか?」
若い子、というにはあまり年齢は離れてないように感じたが、後から聞いてみるとその女性はアラサーだった
24歳の僕からしたら、お姉さんという感じなのだろうか
そんなこんなで、アニメの話題で1時間ほど盛り上がった
・・・連絡先は交換しなかったけれど
変なところでチキンというか、硬派なのである
2次元と酒好きという時点で良い友達になれそうだなと思ったけれど、「LINE交換しませんか?」なんて言ったら下心丸出しのナンパ師みたいで嫌だ、なんて変なプライドを発揮してしまった
まあ本音を言うと断られるのが怖くて、聞けなかったのだけど
こういうのは一期一会だから美しいんだと、そう自分に言い聞かせることにした
コメント
すごい!うまく書けているね! ショートショートみたい
でも、胸が締め付けられた (。>ω<。)
しのみやさん、諦めないで!