2年前、彼女の誕生日にホテルに泊まった時のこと
そこは日本一の高階層を誇る名ホテル「横浜ロイヤルパークホテル」であった
ルームサービスでホールケーキを予約しておき、サプライズが好きな彼女は目を輝かせる
しかし流石に2人では食べ切れなかったため、テイクアウトすることにしたのだが、そこで事件は起きた
ホテルをチェックアウトし、荷物を受け取るその直前、従業員の手からケーキの入った箱が滑り落ちる
ベチャ
「あ……」
案の定、ケーキは悲惨なまでにぺちゃんこだった
彼女は相当ショックを受けているようだった。しかし、従業員はカタコトの日本語で狼狽えるのみである
テンパっていたのか、謝罪の言葉すら出てこない
「どうされましたか?」
そんな時、フロアの責任者?のような出立ちの男性が颯爽と現れ、僕たちは事情を話した
「こちらの不手際で台無しにしてしまって、大変申し訳ございませんでした・・・」
「代わりと言ってはなんですが、当ホテル内のお店で販売しているカットケーキをご覧いただき、お好きなものお渡しさせていただけないでしょうか」
〇〇
今にして思うと、この方は「接客・サービスのプロ」だ
本来であればケーキが台無しになり、最悪な思い出となっていただろう
しかし彼の素晴らしいサービス精神とおもてなし心のおかげで、良い思い出へと昇華させたのだ
これが別の担当者なら、好きなケーキを提供するという選択じゃなかったかもしれないし、平謝りするだけの対応をとる人も大勢いるだろう。いわゆるマニュアル通りの対応というやつだ
別にそれを否定するつもりもないし、悪いとも思わない
しかし、こういったアクシデントへの対応1つで、そのホテル(店)への心象は大きく変わるものなのだと、強く実感した出来事であった
実際、お詫びにケーキを渡したいと言われて、誠心誠意謝っていることが伝わったし、なによりさらに新しいケーキが食べられるということでむしろラッキーとまで思えたのだから
この話を思い出した理由は最近ホテルで起きた事件がきっかけである
ホテルにチェックインしようとしたら、20〜30分ほど待たされた。混んでいたし仕方ない。それはまだいい
チェックインを済ませ部屋に入ろうとすると、指定された部屋にも関わらずカードキーが使えない
きっとホテル側の不手際だろう。ここまでも百歩譲ってまだ良かった
廊下にある電話機でフロントに連絡すると、新たなカードキーを部屋前まで持って来てくれるとのことだった
しかし、いつまで経っても来ない。もう一度電話しても、まだ来ない
おそらく20分は待たされた
今回のホテルではラウンジ付きのプランで予約していたため、15:30までにラウンジに行けば、ケーキやスイーツ、ティータイムが楽しめるのだ
このゴタゴタで15:20になってしまったので、急いでラウンジに向かう
しかし、既に片付けが済んでおり何も残されてはいなかった
プランにはティータイムは、15:30までと書いてあるのだが、15:20に片付けるものだったらしい。(なぜ15:30までと書いたんだ)
ラウンジのスタッフに事情を説明するも、聞き入れてもらえず、代わりと言って個包装のマドレーヌを渡されはしたが、釈然としない
そもそも4人で来ているのになぜ3個渡したんだ。僕たちがもっと短気な客であれば、二重クレームで大ごとになっていたに違いない
このホテル側の対応がダメすぎて、自分の中で過去に泊まった横浜ロイヤルパークホテルの株が爆上がりすることになったのである
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