過去は美化されるものである
当時は美しいと思っていなかったものでさえ
それはきっと「最高の瞬間」を切り取って、「最低の記憶」を消し去っているからだ
人間とはなんて都合が良いんだ
現在進行形で感じている感情以外、正確に認知することができない
過去の楽しかった、或いは悲しかったという体験は「情報としての感情」を記憶しているに過ぎず
その当時の気持ちは体感できない
だからこそ、人は前に進めるのだろう
〇〇
夢を見た
彼と彼女と僕の3人でいた
二度と会えないはずなのに
皆で遊んだのは然程多くないにも関わらず、いつも一緒にいたように錯覚する
その時期、同じ場所にたまたま居合わせただけ。それは刹那的で、けれど楽しかったんだ
本当に都合が良い脳ミソだな
彼女は彼と何やら話した後、去っていく
待ってくれ
ただ謝りたかった
それを伝えるため、彼を置いて走った。全力で
けど、もう手遅れだ
自ら捨てた癖に僕はなんて身勝手なんだ
声が届くわけもなく、夢はそこで終わりを告げた