古来より、人は過去を美化する生き物である
犯してしまった罪や不埒、時には苦しい出来事さえも
過去は何重ものフィルターを介して思い出へと昇華するのだ
あの頃だって辛いことはあったろうに、全く思い出せない
なんて都合がいい
感情なんて所詮は水物で、現在進行形のものしか感じることはできないのだろう
〇〇
大学生活を送っているとき、僕は常に考えていた
「今が最高の時なんだ。人生の羽休め期間はこの4年間で終わる」と
案の定、それは正解だった
なにせ過去の方が美化されやすい性質を差し置いて、今が至高だと思ってたくらいだ
そんな大学生活が過去になった時どうなってしまうのか
言わずもがな、もはや受け止めようのないユートピアとして現れる
社会人になると学生気分のままではいられない
面倒くさいからサボったり自分のやるべきことを投げ出したり責任放棄したり嫌なことからは逃げられないのだ
会社に属すると全てが自分1人の問題ではなくなる
自分がヘマすることによって他人に迷惑がかかる
もう戻れないあの夏休み
大学生活という素晴らしき日々の記憶が、僕を苦しめる
これは呪いだ
大学生活が途方もなく過去のものになれば、この苦しみは消えるだろうか
高校卒業後すぐ社会人になっていたら、ここまでの拒絶反応は起こらなかったと思う
一度でも知ってしまえば、人は堕ちるから
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