「いいの? 私なんかで。だって、〇〇くん、イケメンだし」
人生で初めて彼女ができた。
彼女を好きだったわけではない。とにかく「彼女」が欲しかったのだ。
中学時代、大多数から認められなかった僕は、自分に自信が持てなかった。
けれど、この言葉を聞いて、少し自信が持てたのかもしれない。
僕は本来、こんな扱いを受けるはずがないと、心の奥底では思っていた。
自分には価値があると思いたかったのだと思う。
付き合うことになったのも、搦手というか、真の実力ではない。というか、たまたまだ。
高校入学前、mixiで新入生にコンタクトを取っていたところ、向こうからメッセージが来た。それが知り合うきっかけだった。
送られてきたのは、当時流行っていたモバゲーの勧誘URLのようなものだった。
リンクを踏んでアプリをダウンロードすると、送り主に報酬ポイントが入る。そんな仕組みだったと思う。
「なにこれ?(笑)」
気まぐれに、そう返してみた。
すると向こうは「間違えた、ごめんね(笑)」なんて送ってきたので、そこから会話を展開していった。
言ってしまえば、顔も知らないような人とやり取りをして、実際に会って、付き合う流れになったのだ。
高校で彼女を作った、というよりは、ネットで彼女を作ったという方が正しいのだろう。
こうして僕は彼と同じく、「彼女」ができた。
〇〇
「私、今まで5人と付き合ったんだ」
「へ、へえ、そうなんだ」
「けどね、その中には本当に一瞬しか付き合ってない人も含まれてるからね!」
何気なく、過去の交際歴を聞いてみた。
平静を装っていたが、中学3年生の時点で交際歴が5人と聞き、少し、
というかかなり驚いた。
僕が知らないだけで、みんなそんなものなのだろうか。
彼女に対する見方が変わった。悪い方向に。
さらにその流れで彼女が性行為を経験しているという事実を知る。
正直、引いた。恐怖した。
中学3年生で、そこまで経験していることが。
表向きは変わらずにいたが、僕の中で彼女を見る目は変わっていた。
〇〇
女性から直接的に攻められたのは、初めての経験だった。
僕はひどく動揺した。
心臓がバクバクする。
僕が何をしたのか、具体的にはもう覚えていない。
どうやら、僕が取った何気ない行動がお気に召さなかったらしい。
ただ彼女から責められたことと、険悪になったことを覚えている。
人から攻撃されると、たとえそれが物理的な暴力でなくとも、これだけ締め付けられることを知った。
そうして、彼女と別れた。
そもそも搦手で得た彼女だ。前提が間違っていた。認識の違いやズレもあっただろう。
別れ自体は、別に大したことではなかった。
けれど、クラスでの人間関係も思い通りにいっていなかった僕は、塞ぎ込んでしまった。
慣れない環境で気を張っていたのもあり、疲れてしまったんだと思う。
もう二度と彼女は作らない。
そうだ、今までと同じ場所にいこう。
アニメを見よう。
学校に行きたくなくて、次の日は仮病を使って休んだ。
親の前で号泣したのは、何年振りだったろう。
⑤に続く


