
僕と彼は腐れ縁で、そして僕は彼に嫉妬していたらしい②
SS(ショートストーリー)自分の過去を知る人がいない環境へ行くのは初めてのことだった。
中学時代の僕を知る人間がいない。
それはつまり、これまでの自分を知らない人たちの中で、新しい自分としてスタートできるということだ。
僕はそれを、前向きに捉えていた。
当時、僕は学園アニメにハマっていた。
「僕は友達が少ない」「涼宮ハルヒの憂鬱」「ToLOVEる」等
画面の向こうには、仲間との日常があり、学校行事があり、恋愛があった。
高校に入れば、僕にもあんな生活が待っているのではないか。
今思えば、ずいぶんと都合のいい妄想をしていたものだ。
それでも、当時の僕は本気だった。
「高校に入ったらアニメとか見ないで、彼女作るんだ」
高校デビューを夢見ていた僕は、隣を歩く彼にそう豪語していた。
「へぇ〜、なるほどなぁ。がんばれ」
彼は、まるでウブな子供を見守るようにニヤけていた。
「本気だからな!あー、Aは彼女いるもんな……そりゃあ余裕ですよ」
僕は少し拗ねたように言い返した。
「まあね〜」
彼は相変わらず、余裕そうだった。
なんだか悔しい。
もっとも、彼に悪気があったわけでもないだろうし、僕だって本気で怒ったわけではない。
ただ、彼には彼女がいて、僕にはいなかった。
それだけのことだ。
それだけのことなのに、僕はわざわざ口に出していた。
こうして、今まで二人きりで話す機会はほとんどなかった僕たちだが、高校関連の手続きなどで行動を共にすることが増えていた。
とはいえ、特別仲良くなったわけではない。
あくまで、同じ高校に進学する者同士として、必要なときに一緒に行動する。
その程度の関係だった。
〇〇
そして、今日は合格発表の日。
私立高校の推薦入試だったため、不合格になるとは考えていなかった。
それでも、自分の番号を確認する瞬間には、多少なりとも緊張した。
「あ……お、合格」
「いぇーい」
自分たちの合格を確認した僕たちは、顔を見合わせてハイタッチを交わした。
考えてみれば、二人そろって同じ高校に進学することが決まったのだ。
これから始まる高校生活への期待もあって、自然と気分が浮き立っていたのだと思う。
「改めて、これからよろしく」
そう言って、僕たちは握手を交わした。
中学時代は、同じクラスにいても特別親しかったわけではない。
それが、これからは同じ高校に通うことになる。
当時の僕が、その先の三年間をどこまで想像していたのかはわからない。
少なくとも、このときの僕は、これから始まる高校生活に期待していた。
一緒に来ていた母や祖母とも、それぞれ握手を交わし、この日は解散した。
〇〇
そして迎えた、高校入学の日。
僕と彼は、また同じクラスになった。
③に続く



