社会人4年目の平凡なサラリーマンです。YouTubeに動画投稿してます。
しのみや りょんをフォローする

罪と枷

SS(ショートストーリー)

気づいたらここにいた

もしも楽しいことがあったら、その10倍辛いことが待っている

ここはそういう場所だ

おまけに存在するだけで罪を重ねることになる

数えきれないほどの命を奪って、潰す

僕達の手はどす黒い赤に染まっていた

もはや取り返しがつかないほどに

にも関わらず生を許されているのは何故なのか

代償として、罪は幾重にも積み上がり、自分を縛る枷となる

つまり生きることを許されているのではなく、強要されているのだ

「あなたはどうしてここにいるのですか?」

「わかんない」

意味のないやりとりだった

それでも会話をするのは、少しでも気を紛らわすためなのかもしれない

「君は何故ここに?」

「私は…何か理由があった気がするけれど、何もなかった気もします。つまり分かりません」

「なんだそりゃ」

彼女の言葉がなんだか可笑しくて、ほんの少しだけ口角が上がる

「私達に希望はあるのでしょうか」

「さぁ?先のことは考えたくもないね」

「ですよね」

あぁ、会話が途切れた

刹那、僕の視界に彼女はいなかった

「さて、いこうか」

独り言を呟き、終わりなき路へと旅立っていく

遍く空は僕達に何を伝えたいのだろうか

コメント

タイトルとURLをコピーしました