僕は昔から髪を切るのが嫌いだった
床屋(美容院)に行くと椅子に座らされ、10分以上も拘束されてしまうからだ
おまけに大抵自分の気に入らない髪型にされる
前髪は変な風に短いし、全体的にボリュームがない
しかし親の管理下にある小学生には散髪を拒む権利などなかった
生まれてこの方、床屋(美容院)で自分の満足いく髪型になった試しがない
どんなに高い美容院に行ってもだ
僕の中で髪を切る=苦痛がすっかり定着していた
時は流れ、大学生になった時のこと
ある程度自分の意思で物事を決定するようになり、唐突に自分で髪を切ってみた
ここで初めて、自分で切った方が床屋(美容院)に行くより理想的な髪型になることに気づいたのだった
思い描いた長さで寸分違わずカットすることができ、仕上がりもイメージ通り
最初の方は失敗することもあったが、自分の不手際であれば納得できた
僕はここで確信する
髪を切ること自体が嫌いなのではない
他人に髪を切られて、そして気に入らない髪型にされるのが嫌だったのだ
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